2011/08/17公認会計士協会の動き
代表幹事の坂井昭彦です。
公認会計士制度に関しては今年4月21日の財政金融委員会で「資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案(内閣提出)」の中に盛り込まれていた「企業財務会計士」法案を含む公認会計士法の改正部分が全部削除され、4月27日の参議院本会議で下記の付帯決議を残して廃案になって以来、あまり目立った動きはなかったのですが、どうも最近になって色々と動きがあるような噂を耳にしました。
(付帯決議)
※ 民主党・新緑風会、自由民主党、公明党、みんなの党及びたちあがれ日本・新
党改革の各派共同提案による附帯決議
資本市場及び金融業の基盤強化のための金融商品取引法等の一部を改正する法律案
に対する附帯決議
政府は、次の事項について、十分配慮すべきである。
(中略)
一 公認会計士監査制度及び会計の専門家の活用に関しては、会計をめぐる国際的
な動向や、公認会計士試験合格者数の適正な規模についての議論などを踏まえ、
その在り方を引き続き検討すること。
また、公認会計士による監査を充実・強化していくため、専門職業家団体によ
る自主規律の重要性に配意して、その自主規制を活用した有効かつ効率的な監
督を行うこと。
(後略)
(主な動向)
日本公認会計士協会のHP上から拾ってみると以下のような感じなのですが…
4/27 上記「企業財務会計士法案」を含む公認会計士法改正法案廃案の経緯報告
4/28 日本における公認会計士及び公認会計士制度のあるべき姿の委託研究者公募
5/17 公認会計士試験合格者の採用にかかる企業向け説明会の開催について
7/05 本年の試験合格者の採用活動の開始時期について(お知らせ)
7/20 税務業務部会 設置のお知らせ
8/12 組織(企業)内会計士に関するアンケート最終報報告書の公表について
これ以外にもなんだか水面下であれこれ動いているようですね。
基本的には税理士法改正での3.1.4封じに対抗すべく、従来からの主張である「公認会計士は公認会計士として税務業務ができる」という主張を繰り返し、資質の担保については事後的な研修やサポート体制(税務業務部会)をつくることで抗弁しようとしているようです。
しかし本来は「公認会計士が監査でメシが食えない」という根本的な問題を何とかしないといけないのに、そこは放っておいて、無秩序に増やしてしまってあぶれた人材を何とかすべく、経済界に送り込んだり、税務など他士業の分野に送り込んだりしようと画策しているところに、節操のなさというか場当たり的というか、非常に大きな違和感(と怒り)を覚えます。
そもそも、企業財務会計士が廃案になった最大の理由もそこにあるんじゃないでしょうか?
4/21の財政金融委員会での、古川議員の「本来、この企業財務会計士というのは、待機合格者が増加しちゃっているという現状を何とかしようと思ってつくられたものじゃないんですか。」という質問が正鵠を射ていると思います。要は金融庁の失策の尻ぬぐいですね。
このあたりの話については
使命を果たせない有資格者を無秩序に増やしてどうするの?
金融庁は一体何がしたいの?
というのが私の根本的な疑問です。
隣接士業の心配をしている場合ではないのですが、日本国民の利益を考えた場合、監査制度の充実強化も必須課題ですので、ついつい心配になってしまう今日この頃です。
坂井昭彦@ある程度は公認会計士業界の内情も知っていますが、ま、この場で書く事でもないので伏せておきます。
P.S ただ、公認会計士協会が組織的に色々な手を打ってきているところは見ていて非常に強い危機感のもとで動いているなという印象は受けます。税理士会側もちゃんと組織的に動いてもらわんとね〜!