2011/12/07◆更正の請求期間の延長

代表幹事の坂井昭彦です。

11/30にいわゆる「構築法」が成立し、更正の請求ができる期間が延長されました。ただ、この期間の延長はあくまでも平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来する国税に関して適用されるのであって、それ以前のものは従前の取扱い通り、ということなので、しばらくはいわゆる「嘆願」によらなければならない場合も出てくるようです。

今年の4月頃に知り合いの税理士から、とある税務署に「嘆願」による減額更正を申し出たところ「もうまもなく税制改正で更正の請求期間の延長がなされるので、法案が通ってから更正の請求により出して下さい」という旨の説明がなされ「嘆願」による減額更正を認めてもらえなかった、という話を聞いていたので、なんとなく更正の請求期間の延長については遡及適用されるものだという漠然とした思い込みがあったのですが、法律案(52条・更正の請求の経過措置)を見てもそんな手当てはなされておらず、おかしいなと思っていました。

そこで国税庁のHPで何か関連の情報があがっていないかと思っていたら「更正の請求期間の延長等について(平成23年12月)」という解説ページがUPされていました。

中身を見ると、更正の請求については上記の通り、平成23年12月2日以後に法定申告期限が到来するかどうかによって適用関係が変わってくるのですが、平成23年12月2日前に法定申告期限が到来し、更正可能期間内のもの(いわゆる「嘆願」の対象となるもの)については、別途、「更正の申出書」を提出すれば、調査によりその内容の検討をして、納めすぎの税金があると認められた場合には、減額の更正を行うことになる、といった記述がありました。

ただ、申出のとおり更正されない場合であっても、不服申立てすることはできないとのことで、いわゆる「嘆願」について、様式を定め、「更正の申出」という手続きに仕立て上げた感じなのですが、これも納税環境整備でいう「事実上行われていた手続の明確化」の一環なんでしょうか?

法案にも載らない?形でこういった手続きが整備されるのを目の当たりにするとちょっと気持ち悪いですね。

ただ、実務上は要チェックです。

坂井昭彦@官報サイトで政省令など情報収集中

p.s 上記記述に少し言葉足らずな部分がありましたので補足しておきます。

単純に従来の「嘆願」が「更正の申出」になるのではなく、あくまでも「増額更正ができる期間内のもの」についてのみ「更正の申出」を受け付けるようです。

例えば所得税(旧・更正の請求期間1年・増額更正3年・減額更正5年)の場合

● 12/2以後に法定申告期限が到来するもの    → 更正の請求(新法・5年)
● 12/2前に法定申告期限が到来するもので
 ○ 法定申告期限から1年以内のもの      → 更正の請求(旧法・1年)
 ○ 法定申告期限から1年を超え3年以内のもの → 更正の申出(従来は嘆願)
 ○ 法定申告期限から3年を超え5年以内のもの → 嘆願(これまで通り)

となるようです。なんだかややこしいですね。(^^;