2011/11/08◆規制・制度改革に関する分科会
代表幹事の坂井昭彦です。
TPPについて色々と情報を集めている過程で、しばらく見ていなかった規制改革会議関連の動きも見ておこうと思って行政刷新会議のホームページに行くと、ちょうど本日11/8に、規制・制度改革に関する分科会が開催されていることがわかりました。
[規制改革会議]
規制改革に関する議論は、以前は下記のような構成で細かくテーマが分割されて実施されていました。
グループ | タスクフォース | 主査 |
1.集中テーマ | 医療 | 松井委員 |
介護 | 有富委員 | |
保育 | 翁委員 | |
農林水産 | 八田議長代理 | |
住宅・土地 | 福井委員 | |
航空・空港 | 中条委員 | |
雇用・労働 | 福井委員 | |
教育 | 福井委員 | |
2.一般テーマ | 金融 | 冨山委員 |
独禁政策・生活基盤 | 中条委員 | |
環境 | 本田委員 | |
地域活性化 | 米田委員 | |
環境 | 本田委員 | |
海外人材 | 有富委員 | |
貿易 | 有富委員 | |
運輸 | 中条委員 | |
IT・通信 | 中条委員 | |
エネルギー | 八田議長代理 | |
基本ルール | 安念委員 | |
法務・資格 | 福井委員 | |
官業改革 | 安念委員 | |
3.その他 | 規制改革要望 | 米田委員 |
広報 | 木場委員 |
我々に関連の深い「法務・資格」に関しても上記の通り、委員が割り当てられて、色々と議論がなされておりました。
[規制・制度改革に関する分科会]
しかし、民主党政権になってからは活動方針が大幅に変わり、規制改革会議が廃止されるとともに、平成22年3月に行政刷新会議の下に「規制・制度改革に関する分科会」(以下単に「分科会」という。)が設置され、この中で「1.グリーンイノベーションWG」「2.ライフイノベーションWG」「3.農林・地域活性化WG(第4回までは農業WG)」の3つのワーキンググループを設置して、これら3つの主題の達成のために動く体制になりました。
もちろん、分科会自体の活動方針は
> 次の視点などから規制・制度を見直し、調査・報告を行っています。
>・国民に対する、多様で質の高いサービスの提供を妨げている規制・制度はないか。
>・新たな事業者の参入や、事業者の創意工夫を妨げる規制・制度はないか。
とあるように、規制「改革」と言いながら、あくまでも規制「緩和」を念頭においた方向性のものであると考えられるのですが、資格関連への規制緩和要求が直接語られるような場がなくなったということは、我々士業にとっては朗報であったと言えるでしょう。
で、この3つの分野についてここ1年ばかりは議論をしてきて、平成22年6月15日には第一次報告書、平成23年7月21日には第二次報告書(1 2 3 4 5)がとりまとめられ、公表されたりしておりました。
[今後の議論(第3クール)について]
そして平成23年10月3日からは、分科会はいよいよ新しい局面(第3クール)を迎え、今後の方針などが決定されています。
その中身を見てみると、今年度は分科会として2つのWGを設けるようです。ひとつは「復旧・復興/日本再生」のWG、いまひとつは「エネルギー」のWGです。
タイトルだけ聞くとなんだか良さそうな感じなのですが、前者は
「『日本再生のための戦略に向けて』(平成23 年8 月5 日閣議決定)に掲げられているEU等との経済連携を通じた日本再生に資する観点から、貿易及び国際投資の促進に向けた規制・制度の見直しを検討する。」
とあり、なんだかTPPなどとのからみで外国企業が公共工事を発注できるようにするための基盤を整備しようとしているようにも見えますし、後者についても
「『政府のエネルギー規制・制度改革アクションプラン』(平成23 年11 月1日エネルギー・環境会議決定)を踏まえ、再生可能エネルギー及びそれに関連する規制・制度を中心に見直しを検討する。」
とあるので、たぶんに内容的には電力自由化など、国家の安全にも関わる社会的インフラの民間ないし外国企業への解放などと言った話にもつながりかねない危険なニオイがプンプンしていて予断を許しません。
我々士業とは直接関係ない分野の話なのかも知れませんが、日本の国民や中小企業が疲弊すると我々自身の業界も疲弊しますし、国民の利益になるかどうかを考えると、他人事ではなく、自分のこととして注視することが必要かと思います。(--;
あと、分科会はWGに関する活動だけではなく、内閣府が独自に行っている「国民の声」や各種団体から上がってきたような案件についても
>(3)「国民の声」・各種団体からの要望への対応等
として
> 上記に加え、分科会は、以下の取組を行う。
>・「国民の声」や各種団体からの要望について、その内容を事務局にて整理し、分科会等で議論
> することが適当な案件は、分科会等で取り扱う。
>・規制全般について、国際基準との整合性、規制と自己責任のバランス、規制の改廃手続の透明と、取り扱うこととしていますので、このあたりは昨今の状況に鑑みれば税理士法改正の話などが持ち込まれる恐れが大だということで警戒が必要かと思います。
ま、救いと言いましょうか、ひとつ朗報としてあるのは、この第3クールの分科会活動をはじめるにあたって蓮舫大臣が言った次の言葉です。
> 時代が変わり、環境が変わり、あるいは震災という大きな私たちの思い、経験というものもございます。
> そこにおいて規制・制度はどのように変えていくのか。要は、緩和一辺倒ではなく、規制強化の観点での検討をも促したという点で、重要なのではないかと私は思った次第です。
坂井昭彦@規制は緩和も強化も両方とも必要である。業界利益や外圧でフラフラ動くのではなく国民生活や国民の権利保護のためにしっかりバランスを考えるべし!